巻き爪とは、「爪の端が内側に巻き、皮膚に食い込んでいる状態」のことです。爪の分厚い足の親指によく起こります。
合同会社ひまわりコーポレーションが2022年5月に行ったアンケートによると、なんと10人に2人の人が巻き爪で悩んでいることが明らかになりました。
爪の端にある違和感や痛み。できることなら自分でなんとかしたいですよね。この記事では巻き爪の正しい切り方や、悪化させないコツなどをご紹介します。
巻き爪はなぜ起こる?4つの原因をご紹介
まずは巻き爪の大きな原因4つをご紹介していきます。
【巻き爪の4つの原因】
- 足に靴が合っていない
- 足に力が加わっている機会が少ない
- 爪の切り方が間違っている
- 爪水虫で爪が厚くなってしまった
巻き爪になる原因は様々ですが、日々のライフスタイルが影響していることが多いようです。
原因①:足に靴が合っていない
ヒールの高いサンダルや足先の狭いポインテッドトゥのパンプスなど、足に無理をさせる靴は爪が圧迫されて折れ曲がりやすいため巻き爪の原因になります。また足の健康によさそうなスニーカーでも、自分の足型に合ってない靴を長時間はき続けると爪が変形する可能性があるでしょう。
さらに自分の足型に合っていないは巻き爪だけでなく、外反母趾やうおの目、骨格変形などを引き起こす原因にもなります。つまり「自分の健康を守ること」にも繋がってくるので、足型に合っていない靴を履き続けることは大変危険なことなのです。
原因②:足に力が加わっている機会が少ない
「療養中で歩けない」「年を取って歩くことが減った」というように、足に体重が加わる機会が少ない場合も、巻き爪になりやすいです。またよく歩いていても指が地面につかない「浮足状態」は指に力が加わらないので、巻き爪の原因です。
対して爪に過度の圧力が加わった場合も、巻き爪になる可能性があります。激しい運動を続けると、爪の両端に負荷がかかって爪が巻きやすくなるため注意が必要です。
原因③:深爪にしている
爪の切り方も、巻き爪の大きな原因になります。「深爪」は「ほとんど白い部分がなく爪の面積が小さい状態」です。
爪の面積が小さいと爪を広げる力が弱くなり、内側に巻きやすくなります。さらに爪で抑えられなくなった肉と皮膚が盛り上がって爪に食い込み、巻き爪が進行してしまうのです。
原因④:爪水虫になってしまった
爪水虫は正式名を「爪白癬」といい、水虫が爪にまで感染してしまった状態です。日本人の10人に1人は爪水虫になっているといわれています。
爪水虫は爪が分厚くもろくなってしまうので、巻き爪を進行させる大きな要因となるようです。
正しい巻き爪の切り方をご紹介
巻き爪は間違った切り方をすると、よけいに悪化させてしまいます。正しい切り方を覚えて長さや形を整えておくと、巻き爪以外の爪トラブルも、回避することができるはずです。巻き爪の正しい切り方をマスターしましょう。
【用意する物】
- 爪切り…爪の長さを調整する
- 爪やすり…切り口を滑らかにし、形を整える
①爪切りで爪をカットする
長さを整えるために爪切りを使って一直線に切っていきます。長さの目安は指の先端です。爪を切るときは一息に切るのではなく、刃先を使って少しずつ切るようにしましょう。一度に切ってしまうと、思いのほか深く切ってしまったり爪割れの原因になったりします。
②爪やすりで形を整える
爪やすりを角にあてて、滑らかになるように削ります。爪切りで切った先端もギザギザがなくなるように削ってください。
切り口が滑らかになり、形が整ったら完成です。
爪切りの頻度は1ヶ月を目安に
足の爪を切る頻度は1ヶ月を目安にしましょう。
足の爪の伸びる速さは指の爪の長さに比べてゆっくりです。足の爪の伸びる速さは1日に約0.05~0.08mm、1か月で1~2mmといわれています。また年齢によっても速度が違い、20代をピークにしてだんだんペースが遅くなっていきます。そのかわりに今度は爪の厚みが増していくようです。
あまりこまめに手入れすると爪を切り過ぎてしまい、深爪になって巻き爪が悪化します。切る頻度にこだわるよりも、爪の長さをこまめにチェックするようにしてください。
ベストな爪切りのタイミングは「入浴後」
足の爪は硬く切りにくいことが多いです。そのため爪切りをするベストなタイミングは「入浴後」の爪が柔らかくなっているときです。
硬いままの爪を無理やり切ると、爪に負担がかかってしまいます。割れたりヒビがはいったりする原因になるので、おすすめできません。
切った爪の形は「スクエアオフカット」に整える
切った爪の理想の形は「スクエアオフカット」です。スクエアオフカットとは「角のとれた四角形のような形」のことです。いきなり切らずに、まずは切った爪のイメージをしてみましょう。
爪の長さの目安は「指の先端」です。爪の白い部分が残っていて問題ありません。巻き爪のカーブに合わせて少しずつ手を回転させながら切るようにしましょう。
また爪の両サイドを深く切ってしまう「バイアスカット」には要注意です。爪の端が肉に食いこみ炎症を起こす「陥入爪」になる恐れがあります。
巻き爪を悪化させないために!気を付けたい3つのコツ
巻き爪をこれ以上悪化させないために、切り方のコツをご説明します。
【巻き爪を悪化させないために、気を付けたい3つのコツ】
- 爪の長さは短すぎても長すぎてもダメ!
- 爪周りの皮膚は切らない
- 炎症を起こしているときは無理に切らない
爪の長さは短すぎても長すぎてもダメ!
巻き爪を切るときの長さの目安は「指の先端」です。爪を切るときの長さの調整は非常に重要になります。一度に切ってしまわずに、長さを見ながら数回に分けて切るようにしてください。また微妙な長さの調整には爪やすりを使うといいでしょう。
では、長さが短すぎたり長すぎたりするとどうなるのでしょうか?
- 短すぎる場合 陥入爪の原因です。また爪が短すぎる状態が続くと、爪が変形することもあります。さらに爪の端が肉に食いこんで激しい痛みが出るため、歩行困難になることもあるようです。
- 長すぎる場合 靴の圧迫を受けやすいため、痛みや爪の変形の原因になります。また長すぎる状態を放置しておくと爪が厚く硬くなってしまうため、家庭では処理しにくくなるかもしれません。
爪周りの皮膚は切らない
足の爪周りの皮膚は、硬くなったりささくれになったりすることがあります。爪切りと一緒に切りたくなるかもしれませんが、それは絶対にやめましょう。爪周りの皮膚を切ると、炎症を起こしてしまう可能性があります。
爪周りの皮膚が硬くなったりする原因は「乾燥」です。お風呂上りに爪や足全体を保湿剤でマッサージすれば、乾燥を改善することができます。保湿剤は市販されているハンドクリームでも十分ですので、ぜひ実践してみてください。
炎症を起こしているときは無理に切らない
すでに巻き爪によって痛みがあったり炎症が起きていたりする場合は、無理に自分で切らないようにしましょう。痛みを緩和させるために切っても、あくまで一時しのぎにしかなりません。むしろ巻き爪が進行し、痛みを増すことになります。
症状を悪化させないためには自分で処理せず、皮膚科を受診して最適な処置を受けてください。また皮膚科に行けば、自身に合った爪の切り方や爪のケア方法を教えてくれるはずです。
巻き爪を切る最適な爪切り2選
爪切りにはいくつか種類があります。その中でも特に巻き爪切りに適した爪切りをご紹介します。
巻き爪は通常の爪よりも切りにくいので、道具選びもかなり重要なポイントです。どのご家庭にも一つは爪切りがあるかと思いますが、基本的に巻き爪を切るのにその爪切りは使えません。なぜなら一般的な爪切りは「爪の端が深く切れるように刃が丸くなっている」からです。
巻き爪の理想の爪の形は、角の丸い四角になる「スクエアオフカット」でした。一般的な爪切りで、厚い足の巻き爪をスクエアオフカットにするのは困難です。
スタンダードで使いやすい「平型」
まずは一番身近な形状の「平型」をご紹介しましょう。平型は一般的な爪切りと同じ形状なので、扱いやすいのが特徴です。
平型爪切りの刃のタイプはおもに「カーブ刃」「直線刃」「斜め直線刃」「アーチ刃」「凸刃」の5種類がありますが、このうち巻き爪を切るのに向いているのは「直線刃」と「凸刃」です。
【直線刃】
- 刃先が直線状になっている
- 少しずつ細かく切ることができる
【凸刃】
- 外側に向かって刃がカーブしている
- 巻きの強い巻き爪を切るのに適している
「直線刃」を使えば少しずつ切れるので、爪切りだけである程度スクエアオフカットの形に近づけることができます。もし巻き爪の巻きが強い場合は、「凸刃」の爪切りが有効です。爪の両端を少し残すようにして切り、両端は爪やすりで削って爪への負担を減らすようにしましょう。
分厚い爪を切るのに便利な「ニッパー型」
「ニッパー型」はてこの原理を利用した爪切りです。平型が指の力だけで爪を切るのに対して、ニッパー型は手全体の力を使えるので硬い爪でも楽に切ることができます。また平型よりも刃間が広いので、分厚くなった爪を切るのにも向いています。
ただし通常の爪切りとは形が違うため、最初は使いにくく感じるかもしれません。
爪切りで処理しにくい部分は電動爪やすりが便利
巻き爪がひどいと爪が深く皮膚のほうに巻きこみ過ぎて、手動の爪切りでは切りきれない場合もあります。そのようなときは電動タイプの爪やすりを使ってみてください。
電動タイプの爪やすりは、回転刃を爪にあてて削っていきます。そのため爪切りで切れない部分も削り落とすことが可能です。また電動タイプは力を入れなくても爪が切れるので、力のない高齢者でも使うことができます。
「自分で切れるところは手動の爪切り」「切れない部分は電動タイプの爪やすり」というように、セットで使うことをおすすめします。
爪切り選びはサイズ選びも大切です
爪切りはサイズが大きくなるほど、切断力が上がります。爪の硬さや厚みに合わせてサイズを選ぶようにしましょう。
- Sサイズ…細かい作業がしやすく、小さな爪でも切りやすいです。またコンパクトなので、携帯にも向いています。ただし切断力は少し劣ります。
- Mサイズ…適度なサイズで、切断力もあります。一番種類が豊富にあるサイズなので、自分に合ったタイプの爪切りを選びやすいです。
- Lサイズ…切断力が強力で、刃間も一番広くなります。硬い爪や厚い爪を切るのに最適です。
他の人の爪を切るときは慎重に行いましょう
自分で切れない高齢者など、他の人の爪を切るときは慎重に行うことが大切です。特に高齢者は痛みを自覚しにくいこともあるので、気を配ってあげてください。
他の人の爪を切るときの手順
①爪や皮膚を温める
まずは蒸しタオルなどで爪や皮膚を温め、柔らかく切りやすい状態にしましょう。高齢者の爪は硬く厚くなっているので、この作業が不可欠です。
また爪と皮膚の境界をはっきりさせるため、爪の周りにたまった古い角質などを取り除いておきます。
②爪を切る
爪を切るときはなるべく明るいところで行いましょう。自分の影にならないよう気を付けてください。
利き手ではないほうの手で足の指先を持ち、爪の表面と指の腹を支えましょう。爪切りの刃が指の皮膚をはさんでいないか確認しながら少しずつ切り進めていきます。
③爪を整える
爪を切り終えたら爪やすりで全体の形を整えましょう。蒸しタオルで爪を拭きながら削ると、爪が滑らかになっているか確認しやすくなります。
巻き爪は切りにくい部分を無理に切ると、悪化させてしまいます。切るのが困難なときは皮膚科などの医療機関を受診するようにしてください。
まとめ
巻き爪の切り方をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?巻き爪の予防には日頃のケアが大切です。
しかし「痛みがある」「爪を切るのが難しい」といったときには無理せず、医療機関に相談するようにしましょう。