病気

陥入爪の肉芽にリンデロンは有効?治療法や自分でできる処置法を解説

「リンデロン」という薬をご存じの方は多いのではないでしょうか?リンデロンは抗炎症作用のある外用薬で、炎症にともなう痛みやかゆみ、腫れなどの症状を改善できます。

痛みや腫れを改善できるなら、陥入爪の肉芽の治療に使えるかもしれません。

この記事ではリンデロンの種類や効果、注意点などを詳しく解説していきます。最後まで読めば「リンデロンは陥入爪の肉芽に効くの?」「陥入爪を自分で治療しても大丈夫?」といった疑問を解消できるはずです。

先に結論!リンデロンは陥入爪の肉芽治療に病院で処方される

先に結論!リンデロンは陥入爪の肉芽治療に病院で処方される

病院では巻き爪や陥入爪の症状によって、外用薬や内服薬が処方されます。リンデロンも処方される薬の中の一つで、肉芽が形成している場合の薬です。

【巻き爪や陥入爪で処方される薬の種類】

  • 痛み止めの内服薬
  • 抗生物質の内服薬
  • 抗炎症剤の内服薬
  • 痛み止めの外用薬
  • 抗菌作用のある外用薬
  • ステロイド剤の外用薬

病院では医師の判断で、内服薬や外用薬が適切な量を処方されます。リンデロンは、肉芽腫を抑える効果のあるステロイド剤です。

そもそもリンデロンとは?

そもそもリンデロンとは?

リンデロンはステロイドという抗炎症成分が含まれている薬です。ステロイドは作用の強さによって5段階に分類されます。

外用の塗り薬には、リンデロンDP・リンデロンV・リンデロンVG・リンデロンAの4種類があります。

リンデロンランク成分
リンデロンDPベリーストロングベタメタゾンジプロピオン酸エステル(ステロイド)
リンデロンVストロングベタメタゾン吉草酸エステル(ステロイド)
リンデロンVGストロングベタメタゾン吉草酸エステル(ステロイド)
ゲンタマイシン硫酸塩(抗生物質)
リンデロンAウィークベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(ステロイド)
フラジオマイシン硫酸塩(抗生物質)

リンデロンには、クロベタゾールプロピオン酸エステルのようなⅠ群のステロイドを使用した製品はないです。

ただし種類によって効果やステロイド以外に含まれている成分が異なるので、自己判断で安易に使用するのはおすすめしません。

リンデロンは肌のかぶれや炎症に効く

リンデロンの主成分はステロイドです。ステロイドとは「副腎という臓器で作られるホルモン」で、薬に応用したものをステロイド薬といいます。

リンデロンなどのステロイド外用薬は炎症を鎮める効果がすぐれており、湿疹やかぶれなど皮膚疾患の治療に広く用いられている薬です。

またステロイド薬は、炎症を鎮める以外にも多くの効果があります。

【ステロイド薬の効果】

  • 炎症を鎮める効果
  • 炎症を引き起こす細胞の増殖を抑える効果
  • 患部の赤みを鎮める効果

いっぽうリンデロンなどのステロイド薬には免疫を低下させるといった副作用もあるので、用法用量を必ず守って適切に使用しましょう。

リンデロンを使ってはいけない症状や部位は?

リンデロンは原則として、ウィルスや真菌などの皮膚感染症には使用できません。

【使用できない症状】

  • 単純疱疹(口唇ヘルペス、顔面ヘルペス、性器ヘルペスなど)
  • 水疱瘡
  • 帯状疱疹

重度のやけどや切り傷、皮膚潰瘍、化膿している患部に使用すると、かえって症状が悪化する恐れがあります。

また皮膚の薄い顔や陰部、赤ちゃんの肌などは、ステロイドを吸収しやすいため効果が出やすいです。効果が高いということは副作用のリスクも高まるため、リンデロンの強さランクや使用頻度・期間を調整する必要があります。

リンデロンはドラッグストアで買える?

リンデロンはドラッグストアで買える?

ここまででご紹介した4種類のリンデロンは医療用のため、市販されていません。しかし医療用リンデロンとは別に、市販用リンデロンが2022年3月14日から発売されました。

現在唯一ドラックストアなどで購入できるリンデロンは、リンデロンVsです。リンデロンVsは、医療用のリンデロンVと同じⅢ群(ストロング)に分類されており、同成分・同量のステロイドが含まれています。

リンデロン
画像出典:シオノギヘルスケア

分類指定第2類医薬品
成分ベタメタゾン吉草酸エステル(ステロイド)
分量(1g中)1.2mg
効能・効果しっしん、皮ふ炎、あせも、かぶれ、かゆみ、
しもやけ、虫さされ、じんましん
用法・用量1日1回~数回 適量を患部に塗布
参照:シオノギヘルスケア

繰り返しお伝えしているとおり、ステロイド薬は副作用があります。用法・容量を守って正しく使用しましょう。また使用すべきか迷ったら、まずは専門家への相談をおすすめします。

陥入爪で肉芽ができたとき自分で治すのはNG

陥入爪で肉芽ができたとき自分で治すのはNG

インターネット上を調査すると「陥入爪 肉芽 自分で治す 知恵袋」といった検索ワードを見かけます。しかし、ご自身で肉芽を除去しようとするのはNGです。

自分で無理に治そうとすると、患部に細菌が入って化膿するなど症状がさらに悪化する恐れがあります。

軽度の陥入爪をセルフケアする方法はありますが、肉芽を根本から治療するのはほぼ不可能です。陥入爪で肉芽ができたときは、症状が進行する前に専門家に相談しましょう。

陥入爪で肉芽ができたときの応急処置方法

陥入爪で肉芽ができたときの応急処置方法

「肉芽が気になるけど、病院に行く時間が取れない」

「病院に行くまでの間、痛みを取りたい」

陥入爪で肉芽ができてしまったとき、すぐに病院に行けるとは限りません。ここでは、陥入爪で肉芽ができたときの応急処置方法をご紹介します。

ご紹介する方法は治療方法ではないため、やり続けても肉芽は治すのは難しいです。応急処置をした後は、なるべく早く病院で治療を受けてください。

市販の薬を使う

リンデロンVsなどの市販薬の利用は、陥入爪の肉芽の応急処置に有効です。リンデロンVsに似たような効果のある製品もあります。

  • フルコートf
  • クロマイ-P軟膏
  • ベトネベートN軟膏
  • テラ・コートリル軟膏

また痛みを和らげるためには、イブプロフェンやロキソプロフェンの入った市販の内服薬を服用するのもいいでしょう。

テーピング法

テーピングを使えば、爪の食い込みを和らげられます。

【テーピング法のやり方】

  1. 爪の横ギリギリの皮膚の部分にテープを貼り付ける
  2. 爪と皮膚を引き離すように横に引っ張る
  3. 爪と皮膚を引き離した状態をキープしたまま、指の腹側にテープを回す
  4. テープを爪の指の上まで回してカットする
テーピング法

食い込んでいた爪と肉芽の部分が離れて痛みが軽減されますが、治っているわけではありません。テーピングをしているときは、足に負担の少ない靴をはくなど患部が圧迫されないように気を付けましょう。

また陥入爪は患部の清潔を保つことも重要です。

陥入爪の肉芽はキズパワーパッドでは治らない

テーピング法に使用するテープは、医療用テープがなくても絆創膏で代用できます。

絆創膏というと、キズパワーパッドなどのハイドロコロイド製剤を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか?ハイドロコロイド製剤は傷口を覆って外部から遮断し、傷口から出てくる体液で自己治癒を早められます。

画像出典:バンドエイド公式サイト

使用に向いているのは擦り傷や靴ずれといった傷です。いっぽう化膿している傷や炎症部分などに使用すると、菌が繁殖して悪化させる恐れがあります。

キスパワーパッドを使ったからといって、テーピング法の効果が高まったり肉芽が治ったりすることはないです。

そもそもテーピング法に求められるテープの効果は、粘着力であって治癒効果ではありません。つまり肌に貼っても支障のないテープであれば、何を使ってもテーピング法は可能です。

キズパワーパッドにも粘着力はあります。しかし他の絆創膏より金額が高いので、毎日取り換えながら使用するのはもったいないです。

テーピング法で使う絆創膏は安価な物を使って、入浴後や汗をかいたときなどにまめに取り換えるようにしましょう。

コットンパッキング法

爪の食い込みを緩和させる方法は、テーピング法以外にコットンパッキング法もあります。コットンパッキング法は、患部の爪と皮膚の間にコットンを挟んで爪の食い込みを緩和する方法です。

コットンパッキング法

爪と皮膚を物理的に離す方法ですが、挟むコットンが多すぎると患部が圧迫されてかえって痛む場合があります。

病院でできる陥入爪の肉芽の治療方法

病院でできる陥入爪の肉芽の治療方法

病院では陥入爪の肉芽の症状の重さや医師の方針によって、治療方法が異なります。テーピング法やコットンパッキング法も、陥入爪の肉芽が軽度の場合に病院で行われる治療方法の一つです。

ここでは、テーピング法やコットンパッキング法以外の病院で行われる治療法をご紹介します。

薬で治す

軽度の陥入爪の肉芽であれば、内服薬・外用薬を用いて症状を改善可能です。

リンデロンのようなステロイドの外用薬を患部に塗って、肉芽の腫れや爪の食い込みを緩和します。また細菌感染している場合は、抗菌作用のある飲み薬で治療する場合もあります。

治療期間は2週間が目安です。治療期間は細菌の繁殖を防ぐために、患部の清潔を保つようにしましょう。また激しい運動は控えて、患部への負担を減らすことも大切です。

液体窒素で患部を凍結させる

液体窒素で患部を凍結させる方法もあります。液体窒素は、冷却剤などの使用されるマイナス196℃の超低温の液体です。生体に付着すると、凍傷を引き起こします。

液体窒素は、陥入爪の肉芽の他にも手や足にできたイボの治療などにも用いられる方法です。

陥入爪の肉芽の治療では、まず液体窒素で患部を凍結させて組織を壊死させます。処置後に壊死させた患部がはがれて、新しい組織に置き換われば治療成功です。

治療後は経過を見るために1~2週間の間隔で通院が必要になります。

ガタ―法

ガタ―法は皮膚と爪の間にチューブを差し込んで、食い込んだ爪から皮膚を保護する方法です。チューブを差し込む際は痛みがあるので、指の付け根や爪の周りに局所麻酔をしてから施術を行います。

ガタ―法

チューブによって爪を正常に伸ばすことが期待でき、またチューブで押さえつけて肉芽が大きくなるのを抑制します。

爪を部分切除する

爪の部分切除は、患部の爪を切除して爪の食い込みを改善する方法です。爪の部分切除には、「爪甲除去」と「爪甲切除」の2つの方法があります。

  • 爪甲除去・・・無麻酔で食い込んでいる爪を部分的に切除する方法。
  • 爪甲切除・・・局所麻酔をして、食い込んでいる爪の根元に近い部分から切除する方法。

陥入爪で肉芽がある場合は、爪甲切除で一緒に肉芽も切除してしまいます。術後痛みや皮膚の炎症は数日で治まるでしょう。

爪甲切除をすると一時的に爪の幅が狭くなりますが、数か月後にはほとんど元の幅に戻ります。

フェノール法

フェノール法は、強い蛋白腐食作用のあるフェノールという薬剤を使用する手術です。足指の付け根に局所麻酔して爪甲切除を行った後、爪甲を切除した部分の爪母組織をフェノールで処置します。

フェノール法

フェノール法は痛みが少なく、手術当日でも歩行可能なのが大きなメリットです。しかし爪甲を切除した部分の爪母からは爪が生えてこなくなるため、爪幅が狭くなってしまいます。

NaOH法

NaOH法はNaOH(水酸化ナトリウム)を使用する手術です。施術法はフェノール法と同じで、爪甲を切除した部分の爪母組織をNaOHで処置します。

NaOH法も切除した部分の爪は永久に生えてきません。

まとめ

まとめ

リンデロンの主成分であるステロイドは、陥入爪の肉芽の治療に有効です。を一定期間塗れば、患部の炎症や腫れの改善が期待できます。

しかしリンデロンは種類によって作用の強さや効果が異なります。自宅にリンデロンが合ったとしても、自分の判断だけで肉芽治療への使用するのはおすすめしません。

とくに出血や化膿している状態に塗ると、症状が悪化するケースもあります。

陥入爪の肉芽の治療を自力で行うのは難しいです。重症化する前に、病院で医師の指示を仰ぎましょう。

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