巻き爪の治療というと手術で爪を切除して治療する外科的治療を想像する方も多いのではないでしょうか?実は巻き爪の治療は手術よりも、一般的に矯正治療と呼ばれる保存治療が圧倒的に多いです。
この記事では、巻き爪の矯正治療の中でも特に痛みが少ないと言われているプレートの矯正治療の方法や費用、期間などについて詳しく解説していきます。
巻き爪の矯正治療は大きく3種類
巻き爪の矯正治療とは手術をして爪切除しない方法で行う治療のことで、大きく3つの治療に分類できます。
治療法 | 概要 |
---|---|
プレートを用いる矯正治療方法 | プレートを爪の表面に装着させる |
クリップを用いる矯正治療方法 | 矯正器具を爪の先端に装着する |
ワイヤーを用いる矯正治療方法 | 爪に穴を開けワイヤーを装着する |
どの治療が行えるかは、受診する専門機関や爪の状態などで異なります。今回はプレートを用いた矯正治療方法について深掘りしていきます。
巻き爪のプレート治療
巻き爪のプレートの矯正治療は、形状記憶合金や特殊な樹脂で作られたプレートを爪の表面に装着します。装着したプレートは元の形に戻ろうとするので、その力を利用して変形した爪を徐々に矯正していく方法です。
巻き爪のプレート治療の矯正力は他の矯正治療によりもやや弱い傾向があります。その代わり目立ちにくく見た目が綺麗なのが大きな魅力です。
またプレートの矯正治療は、爪にプレートを乗せるだけの簡単な方法に見えます。しかし接着する作業や装着する位置など、非常に難しい部分が多いです。正しく装着できているかどうかで矯正の効果が変わってくるので、プレートの矯正治療をする場合はプロの施術を受けることをおすすめします。
形状記憶プレート法
形状記憶プレート法(マチプレートMD)は、チタン、ニッケル合金に特殊処理をした形状記憶合金のプレートを使用します。形状記憶合金は常温ではやわらかく、45度以上の温度になると真っすぐの形に戻ろうとするのが特徴です。プレートはアロンアルフアA「三共」など医療用接着剤を使って爪の表面に装着します。
装着後は毎日1~3回ほどヘアドライヤーで5~10秒温めるのを繰り返すことで、爪の成長に伴って矯正されていくという仕組みです。
形状記憶プレート法のメリット
形状記憶プレート法のメリットは、以下の通りです。
- 短い爪でも施術できる
- 施術直後から痛みを軽減できる
- 爪への負担が少ない
- 矯正器具が目立ちにくい
- 薄い爪ほど効果が出やすい
- 日常生活に制限がない
- 痛みが少ない
- 治療時間が短い
ワイヤーやクリップを用いる方法は、矯正器具を爪にひっかけたり穴を開けたりするためある程度の爪の長さが必要です。しかし形状記憶プレート法は爪の表面にプレートを装着するため、短い爪や陥入爪でも施術することができます。
また治療自体は爪の表面にプレートを装着するだけなので、1回あたりの治療時間が非常に短いです。
形状記憶プレート法のデメリット
手軽な形状記憶プレート法ですが、デメリットもあります。
- 弯曲がひどく硬い爪には効果が低い
- プレートがすぐはがれてしまうことがある
- 保険適用ではない
- 完治までに時間がかかる
形状記憶プレート法はワイヤーやクリップを用いる方法に比べると矯正力が弱いです。そのためひどく弯曲している爪や硬い爪には効果が低く、完治までの治療期間が長くかかってしまいます。
また貼り付けたプレートがはがれてしまうこともあり、その場合は再度張り直さなければいけません。
B/Sスパンゲ法
B/Sスパンゲ法は、ドイツで開発されたグラスファイバー入りの特殊なプラスチックのプレートを爪の表面に装着する方法です。B/Sスパンゲには「クラシック」「マグネット」「クイック」「プラス」の4種類があります。
タイプ | 特徴 |
---|---|
クラシック | 爪のサイズに合わせやすい |
マグネットクラシック | マグネットがついていて固定しやすい |
クイック | ワンタッチでお手軽 |
マグネットクラシックプラス | マグネットクラシックの幅広タイプ |
クラシック、マグネットクラシック、クイックは、形状が違うだけでいずれも効果は同じです。マグネットクラシックプラスは他に比べると幅広になっていて、日本人の爪には反発が強すぎる傾向があります。
B/Sスパンゲ法のメリット
特殊なプラスチックのプレートを使用するB/Sスパンゲ法には、以下のようなメリットがあります。
- 爪に優しい
- 付けていることを忘れるくらい目立たない
- 根元までの矯正が可能
- 矯正力の持続期間が長い
- 厚い爪や短い爪でも矯正できる
- 施術直後から効果を実感できる
- 金属アレルギーでも施術できる
B/Sスパンゲ法は爪への負担が少ないため、爪の薄い方やご年配で爪が割れやすくなっている方でも安心して装着することができます。またプレートがつけているのを忘れるくらい目立たず、矯正器具の上からネイルも可能です。
さらに矯正力の持続期間が長いため、通院が1~2ヶ月に1回で済みます。
B/Sスパンゲ法のデメリット
B/Sスパンゲ法のデメリットは以下の通りです。
- 施術者の技術力が不足しているとプレートがはがれやすい
- 爪の弯曲が強かったり爪が硬かったりすると矯正の効果が出にくい
- 爪の弯曲が強いとプレートが2枚必要な場合がある
- 弯曲の強い爪に施術するとプレートが折れる場合がある
- 保険適用にならない
B/Sスパンゲ法は、プレートの反発力を利用して爪の形を矯正していきます。そのため爪の弯曲が強いと、爪の巻いている力にプレートの反発力が負けてしまい矯正の効果が出にくかったりプレートが折れてしまったりすることがあります。
爪の巻いている力に対応するためには、プレートを2枚使用して反発力を高めることが有効です。しかし施術の費用がかさんでしまうのがデメリットになります。
ペディグラステクノロジー
ペディグラステクノロジーは、国内外で特許を取得している弾性レジン樹脂プレートを爪の表面のサイドに装着する矯正方法です。プレートには症状などに合わせて、様々なタイプがあります。
タイプ | 特徴 |
---|---|
パワーフリースタイル | 軽度~中度の巻き爪に有効。 |
フォークスタイル | 渦状になった重度の巻き爪に有効。 |
ワイドフリースタイル | 薄い爪や弱い爪の巻き爪に有効。 陥入爪になるのを未然に防ぐことができる。 |
スタンダードスタイル | 陥入爪を上方に引きあげたり、爪の根元を引きあげたりできる。 |
ビッグフォークスタイル | 爪の根元を引きあげたり爪端が完全に埋もれている重度の巻き爪を矯正したりするのに有効。 |
ペディグラステクノロジーのメリット
ペディグラステクノロジーのメリットは、以下の通りです。
- 痛くない
- 最初の施術後から痛みが消える
- 短い爪でも施術できる
- 巻き爪の再発率が低い
- 矯正具が透明なので見た目が美しい
- あらゆる爪の症状に対応できる
- 日常生活に支障がでにくい。軽いスポーツも可能
ペディグラステクノロジーは爪の先端の爪切りで切っても痛くない部分に矯正器具をひっかけて爪の表面に貼りつけるので、ほとんどの場合痛みがありません。またペディグラステクノロジーは爪の根元から引き上げて矯正することができるので、巻き爪の再発率が非常に低いです。
さらに矯正器具の形状が豊富なので、ストロー型に細く巻いた爪や渦巻き型の重度の巻き爪、陥入爪などあらゆる爪の症状に対応することができます。
ペディグラステクノロジーのデメリット
ペディグラステクノロジーはあらゆる爪のトラブルに対応することができますが、いくつかデメリットもあります。
- 入浴やプールなどで長時間水に使っていると、プレートがはがれやすくなる
- 矯正を根元まで完了しないと巻き爪が再発する
- 1ヶ月以上装着し続けると、亀裂ができてカビや細菌が繁殖することがある
- 特殊な接着剤を使用しているので、自分ではずすことができない
- 治療期間が1年以上かかることもある
ペディグラステクノロジーのプレートは1ヶ月以上装着し続けると、亀裂ができてしまいそこにカビや細菌が繁殖してしまう場合があります。そのため必ず1ヶ月に1回は矯正器具の交換が必要です。
また特殊な接着剤を使って爪に貼り付けているので、自分ではがすことができません。もし途中で治療をやめる場合でも専門機関に行って取り除く必要があります。
巻き爪のプレート矯正治療にかかる費用や治療期間
それでは「形状記憶プレート法」「B/Sスパンゲ法」「ペディグラステクノロジー」にかかる費用や通院頻度、治療期間を見てみましょう。
矯正治療法 | 通院頻度 | 治療期間 | 費用 |
---|---|---|---|
形状記憶プレート法 | 1~2ヶ月に1回 | 6ヶ月~1年程度 | プレート1枚あたり3,000円+初診料8,000円ほど |
B/Sスパンゲ法 | 1~2ヶ月に1回 | 3ヶ月~1年程度 | 1ヶ所 約6,000円 |
ペディグラステクノロジー | 必ず1ヶ月に1回 | 3ヶ月~1年以上 | 下地作り550~2,200円 1ヶ所 約7,000円 補助上げ 2,200円 根元上げ 7,700円 割れ爪補正 5,500円 |
巻き爪のプレート矯正治療はどこで受けられる?
巻き爪のプレート矯正治療が受けられるのは、以下のような施設です。
- 皮膚科
- フットケア外来
- ネイルケア専門店
- フットケア専門店
- 接骨院
皮膚科やフットケア外来は医療機関なので、爪の矯正治療を受けることができます。ただしネイルケア専門店やフットケア専門店、接骨院など医療機関以外の場合は注意が必要です。無資格の施設で施術を受けると、かえって症状を悪化させてしまうかもしれません。
施術を受けるときは、B/S スパンゲ技術者やペディグラステクノロジーの足爪補正士といった巻き爪のプレート矯正治療の資格を持っている施設であることを確認してからにしましょう。
巻き爪のプレート矯正治療を自分でする方法はある?
巻き爪のプレート矯正治療は施術者の技量が非常に重要なので、自分でするのは非常に難しいです。しかし「病院に行くほど重症ではないと思う」「プロの施術を受ける前に自分でやってみたい」といった方もいるでしょう。
そのような方に向けて、ここでは2つの方法をご紹介します。
市販の矯正器具を購入する
まず一つ目の方法は、市販の矯正器具を購入して自分で貼ってみる方法です。
- コジット 巻爪ケア PROサポートシール
テープの中に樹脂プレートが内蔵されており、爪を引き上げることで巻き爪の痛みを緩和します。メディカルフットケア師の山本成美先生監修です。
- 株式会社 ミノウラ New 巻き爪ガイドストッパー
弾力性のある強力バネ材をテープで爪の表面に貼り付け、バネ材の力を利用して巻き爪が皮膚に食い込むのを緩和します。
- サンファミリー 簡単貼るだけDr.巻き爪テープ
弾力のある幅広のプレートで爪を引き上げ、巻き爪の痛みを緩和します。
いずれもテープで手軽に貼り付けられますが、巻き爪の痛みを緩和するものなので完治させるのは難しいです。本格的に治療を始めるなら、専門機関を利用しましょう。
BSスパンゲやペディグラスの講習を受ける
自分で施術ができるように講習を受けるのも、手段の一つです。B/Sスパンゲやペディグラステクノロジーの講習は医療やネイルの専門知識のない一般の方でも受講することができます。
矯正方法 | 受講期間 | 費用 |
---|---|---|
B/Sスパンゲ | 1~3日 | 8万~20万円 |
ペディグラス | 巻き爪補正ベーシックコース:1日~ | 33,000円~ ※別途スターターキット代 80,300円 |
B/Sスパンゲ法もペディグラステクノロジーも受講期間は短いですが、負担する費用が大きいです。開業を目指したり技術を自分の仕事に活かしたりしないのであれば、専門家に施術を依頼したほうがいいでしょう。
まとめ
巻き爪のプレートの矯正治療についてご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?プレートの矯正治療は爪に負担がかかりにくく、痛みの少ない魅力的な治療法です。しかし巻き爪の状態が悪化しすぎると、矯正治療ではなく外科的治療をしなくてはいけなくなる可能性もあります。
巻き爪で痛みや違和感があるときは、なるべく早く専門機関に相談するようにしましょう。