病気

陥入爪はワイヤーで治療できる!自分でやる方法や費用についても紹介

爪と皮膚の間に痛みを感じると巻き爪を疑いたくなりますが、実は「陥入爪」かもしれません。

巻き爪と陥入爪は正確には違う状態です。しかし原因や症状に共通点があり、巻き爪と陥入爪のどちらにも有効な治療法が多くあります。

ワイヤー治療も、巻き爪と陥入爪に共通して有効な治療法の一つです。

本記事では陥入爪のワイヤー治療について詳しくご紹介していきます。最後まで読めば「ワイヤー治療はどこでできる?」「自分でやる方法はない?」といった疑問が解消されるはずです。

陥入爪ってどんな状態?

陥入爪は爪の端が周辺の皮膚に食い込んでいる状態です。初期段階は無症状で気づかない場合もありますが、進行するにつれて痛みを感じるようになります。

  1. 痛みを感じない、気づかないケースもある
  2. 靴を履くなど、圧迫されると痛みを感じる
  3. 患部が赤くなって熱を持つ、抑えなくても疼痛がある
  4. 患部から細菌が入り炎症を起こす(爪囲炎)
  5. 患部に膿が貯まる
  6. 痛みが強く歩くのに支障が出る

陥入爪は放っておいて治ることはありません。何度も陥入爪を繰り返す場合は、手術治療が必要になる恐れもあります。

陥入爪のワイヤー治療ができる施設

陥入爪の治療ができる施設と、おもな治療内容をまとめました。

治療機関主に行われる治療
皮膚科保存的治療がメイン
肉芽腫の液体窒素療法
一部の皮膚科ではワイヤーやプレートなどの矯正治療が受けられる
整形外科ワイヤーによる矯正治療がメイン
歩き方、靴などの指導
形成外科手術療法がメイン
フットケア外来保存的治療がメイン
症状悪化の防止や日常生活での足のケア方法などのアドバイス・指導
サロン・整骨院などプレートの矯正治療がメイン

陥入爪のワイヤー治療ができるのは、皮膚科と整形外科です。ただし皮膚科や整形外科なら必ずワイヤー治療ができるというわけではありません。

とくに整形外科は細かく専門が分かれているので、足を専門に扱っている医師のいるところを選びましょう。

陥入爪に有効なワイヤー治療法

陥入爪に有効なワイヤー治療は2つあります。

ワイヤー治療矯正の位置矯正の効果見た目
マチワイヤー法爪の先端強い矯正具が見えるが、目立ちにくい
3TO(VHO)法爪の中央即日から効果を感じる矯正具が見えるが、目立ちにくい

ワイヤー治療法で共通するメリットは、治療効果を感じやすいことです。また矯正具が目立ちにくいので、サンダルなど足の指の見える靴を履いても違和感は少ないでしょう。

マチワイヤー法:爪に小さな穴を開ける

ワイヤー治療メリットデメリット
マチワイヤー法矯正力が強い
治療時間が短い
処置したその日から通常通りに生活できる
爪の白い部分がないと治療が難しい
約4週間で交換
稀にワイヤーの力で爪が割れてしまう

マチワイヤー法は、1999年に整形外科医の町田医師によって開発されました。

形状記憶合金の特別なワイヤーを使用する矯正治療です。ワイヤーを爪に装着して、ワイヤーが元の形に戻ろうとする力を利用して爪を矯正します。

爪の白い部分に穴を開ける必要があるので、短すぎる爪への施術は困難です。

  1. 爪の白い部分にドリルなどで2か所穴を開ける
  2. 2か所の穴からワイヤーを通す

たった2工程で完了なので、1回の治療時間は非常に短いです。

3TO(VHO)法:3つのパーツを組み合わせる

ワイヤー治療メリットデメリット
3TO(VHO)法爪や症状に合わせてワイヤーを調節できる
皮膚や爪へのダメージが少ない
効果が感じられやすい
厚い爪では効果が出ない
約4週間で交換

3TO(VHO)法は、3TO(VHO)ライセンスを取得した医師のみは施術できる治療法です。人間の自然治癒力を活かす治療方法なので、施術を受ける人にとって負担を小さくできます。

個々の爪の形や状態に合わせて専用スチールワイヤーの3つのパーツを組み合わせ、張り具合や長さ、カーブを調整できるのが大きな特徴です。

  1. ワイヤーを爪の大きさに合わせて切る
  2. 爪の弯曲に合わせてワイヤーを曲げる
  3. ワイヤーを爪の左右にひっかけ、専用のフックで巻き上げ固定する
  4. 余分なワイヤーをカットする
  5. 人口爪を用いてワイヤーの固定部分をカバーする

ワイヤー位置は爪が伸びると移動していくので、一定期間で付け替えを行います。

陥入爪のワイヤー治療は痛い?

マチワイヤー法と3TO(VHO)法は痛くない治療法です。

マチワイヤー法は爪に穴を開けますが、爪の白い部分なので痛みはありません。穴に通したワイヤーが皮膚に刺さることもないので安全です。

また3TO(VHO)法のワイヤーは爪に引っかけるだけで、皮膚に突き刺すことはありません。痛みや出血はないので、麻酔なしで施術できます。

マチワイヤー法と3TO(VHO)法に痛みがない代わりに、施術した爪に違和感を覚えるかもしれません。

しかし途中で矯正をやめてしまうと爪がまた元の位置に戻ってしまう恐れがあるので、完治するまで通院してワイヤー交換をするようにしましょう。

陥入爪のワイヤー治療の費用目安

陥入爪のワイヤー治療の費用目安は以下のとおりです。かかる病院によって初診料・再診料が必要な場合がありますが、ぜひ参考にしてください。

ワイヤー治療マチワイヤー法3TO(VHO)法
費用目安(施術料+材料費)7,000~10,000円10,000~15,000円
治療期間6か月~1年6か月~1年
通院頻度1か月ごと1か月ごと
費用合計目安42,000~12万円6万~18万円

先にもお伝えしたとおり、治療は途中でやめてしまうと爪がまた元に戻る恐れがあります。中途半端な治療は、それまで治療にかけた費用が全て無駄になってしまうのでもったいないです。

専門家とよく相談して納得してから治療を始めましょう。

陥入爪のワイヤー治療は保険適用外

陥入爪のワイヤー治療は厳密に言うと「治療方法」ではなく「予防的ケア」にあたります。予防的なケアは医療行為ではないため、保険適用外です。

ただし陥入爪によって引き起こされている炎症や化膿、出血などを治すための薬や治療は保険が適用されます。

たとえば皮膚科でマチワイヤー法を受け、化膿止めの飲み薬を処方されたとしましょう。この場合マチワイヤー法の施術代は全額自費ですが、陥入爪が原因の化膿を抑える薬の費用は保険適用になります。

また陥入爪の治療でも、麻酔を使った部分抜爪やフェノール法といった手術治療は保険適用です。

どのような治療がふさわしいかは、専門家と相談して決めましょう。

陥入爪のワイヤー治療を自分でやってみよう

巻き爪のワイヤー治療は、継続することが大切です。しかしワイヤー治療は全額自費負担なので、完治まで多くのお金がかかります。

また仕事や家事、通学など日々の生活に追われていると、病院に通うのはなかなか大変です。

自分でできれば、お金も時間も節約できてうれしいですよね。

準備するもの

  • 形状記憶合金ワイヤー:Amazonなどのネットショップや釣り具屋さんなど意外と身近なところで手に入ります。太さは0.4㎜くらいがおすすめです。あまり太い物を選ぶと、ワイヤーの力が強すぎて爪が割れる恐れがあるので気を付けましょう。
  • 穴開け用ドリル:手動のドリルを用意しましょう。ドリル刃は1mm以下で充分です。
  • ラジオペンチ:ワイヤーを引っ張るときに使用します。
  • ニッパー:ワイヤーを切断します。
  • 瞬間接着剤:ワイヤー固定に使用します。
  • テープ(絆創膏):ワイヤーと靴やストッキングなどの引っ掛かりを防ぎます。

【手順】

  1. ワイヤーを10cm程度の長さに切っておく
  2. 爪のワイヤーを通す場所に2か所印を付ける
  3. 印の部分にドリルで穴を開ける
  4. 穴にワイヤーを通す
  5. ワイヤーを適切な長さに切る
  6. 爪の上部分のワイヤーを瞬間接着剤で固定する
  7. ストッキングなどとの引っ掛かりを防ぐために、ワイヤーをテープ(絆創膏)で覆う

※参考:目黒外科YouTube 「【 巻き爪 】巻き爪治療 | ワイヤー治療

痛みや出血、化膿があるときに無理やり自分で処置すると、症状が悪化してしまいます。節約重視で無茶な処置はせずに、病院で治療してもらいましょう。

ワイヤーを使わずに自分でできる陥入爪の治療法

陥入爪は初期であれば、ワイヤーなどの矯正治療をしなくても自分で治療できます。比較的簡単で陥入爪の予防ケアにもなるので、ぜひ試してみてください。

コットンパッキング法

コットンパッキング法は陥入爪や巻き爪の保存的治療で、もっとも広く施されている治療です。

医療用もしくは化粧用のコットンを米粒ほどに丸めて、患部の爪と皮膚の間に詰めるだけで完了します。

コットンパッキング法のポイントは2つです。

  • コットンの大きさ
  • 爪の長さ

皮膚と爪の間に挟むコットンは大きさが重要です。

コットンパッキング法はコットンを皮膚と爪の間に挟んで間隔を開けて皮膚に爪が刺さるのを防ぎますが、コットンを詰め込みすぎるとかえって痛みが増してしまいます。

最初は小さめからはじめて、徐々に詰める量を増やしていきましょう。

また爪と皮膚の間コットンを挟むため、ある程度の爪の長さが必要です。無理に詰めると、痛みが強くなったり爪がはがれたりするケースもあるので注意しましょう。

テーピング法

テーピング法は、爪の長さに関係なく行える治療方法です。コットンパッキング法よりも簡単で痛みもないので、初めて自分で治療する人は試しやすいでしょう。

爪が食い込んでいる皮膚の表面にテープを貼ります。爪と皮膚の隙間を開けるようにテープを引っ張りながら、ぐるっと指の周りを一周して固定すれば完成です。

テーピング法は伸縮性のあるテープを使えば、うまく処置できます。テープを2cm×6cmくらいのサイズに切ってから巻くのもポイントです。

また伸縮性のあるテープがすぐに用意できないときは、絆創膏で代用できます。

陥入爪に市販のワイヤー矯正器具は不向き

ドラッグストアやインターネット通販をのぞくと、たくさんの巻き爪・陥入爪のワイヤー矯正器具が販売されています。

「病院での治療は高いから」「まずは気軽に治療を試してみたい」という方は、市販のケアグッズを試してみてもいいかもしれません。

しかし正直なところ、市販のケアグッズを使用して陥入爪を治そうとするのはあまりおすすめしません。

爪の白い部分がないと装着できない

「市販のワイヤー矯正器具」と一言でいっても形や大きさは様々ですが、爪への装着方法は爪先に引っかけるタイプが圧倒的に多いです。

画像出典:楽天市場
画像出典:Amazon
画像出典:Yahoo!ショッピング

引っかけるタイプの矯正器具は、爪の先の両端に付ける形になっています。爪の白い部分がないとうまく引っかからないため装着しづらいです。

またそれ以前に陥入爪の場合「爪の先の両端」は、まさに患部。よほどの初期症状でない限り、爪の白い部分があったとしても痛くて装着は困難でしょう。

矯正のパワー不足の恐れがある

ワイヤーの矯正器具は爪の白い部分に引っかけるとお伝えしたとおり、効果が伝わるのもおもに「爪の白い部分」です。

  • 爪の白い部分・・・すでに生えている爪
  • 陥入爪の患部の爪・・・正しく生えさせたい爪

陥入爪のワイヤー矯正治療は「皮膚に食い込んでいる爪を正しい方向に生えさせることで皮膚に刺さらないようにすること」を目的としています。

すでに生えている白い爪からアプローチする市販のワイヤー矯正器具は、陥入爪を完治させるには役者不足といえるでしょう。

陥入爪予防には日々のセルフケアが大切

陥入爪を何度も繰り返さないためには、日々のセルフケアが大切です。

【陥入爪予防のセルフケア】

  • 足の清潔を保つ
  • 正しい形に爪を切る
  • 自分の足にあった靴を履く
  • 歩き方を見直す

今までよりも少しだけ脚を気遣ってあげるだけで、陥入爪のリスクは軽減します。

セルフケアのやり方は以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

まとめ

陥入爪のワイヤー治療についてご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?

陥入爪にワイヤー治療は有効です。皮膚科や整形外科ででき、施術を受ければ早い段階から効果を感じられます。

治療費が全額自己負担なのがややネックですが、専門家の指示に従って治療を続ければ完治を目指せるでしょう。

また陥入爪の治療は自分で行う方法もあります。自分でできれば、費用だけでなく病院に行く時間も節約できるはずです。

ただし無理に自分で治療を行うと、症状を悪化させてしまう恐れがあります。1か月経っても効果が見られないときは、自分で治療は諦めて専門家に相談するようにしましょう。

関連記事