陥入爪や巻き爪といったトラブルは「約10人に1人が経験を持っている」といわれています。
「爪が皮膚に食い込んで痛い」と感じている方は多いのではないでしょうか?
本記事では、陥入爪に効果的な治療方法や、巻き爪との違いについて詳しく解説していきます。「陥入爪を自分で治す方法は?」「自分の症状で、陥入爪の治療で効果はある?」という疑問のある方は必見です。
陥入爪の治療法は保存的治療と外科的治療
陥入爪の治療法には、保存的治療と外科的治療があります。
- 保存的治療・・・患者自身の治癒力を維持し、計画的に行われる治療法
- 外科的治療・・・手術で患部を切除する治療法
保存的治療は、爪と皮膚の間にコットンやチューブを挿入したり、人工爪を装着したりして爪を正しい方向に伸びるように誘導していく方法です。
爪の伸びていく経過や症状の治り具合を見ながら、時間をかけて陥入爪を治療していきます。
いっぽう、外科的治療は手術をして、爪の一部分を除去する治療法です。痛みの原因を根元から取り去るので、保存的治療よりも高い確率で完治を見込めます。
陥入爪と巻き爪の治療は何が違う?
陥入爪と巻き爪はどちらも爪が皮膚に干渉して起こりますが、症状が異なります。
症状 | 効果的な治療法 | |
---|---|---|
陥入爪 | 爪の先端が皮膚に刺さっている | 爪の先端が皮膚に刺さらなくする治療 |
巻き爪 | 爪の端が内側に巻いている | 爪が平らになるようにする治療 |
巻き爪の症状が悪化すると、皮膚にきつく爪が食い込んで陥入爪を併発するケースも多いです。いっぽう、陥入爪が進行した場合、炎症や化膿、歩行困難になる恐れがありますが、巻き爪になることはないでしょう。
また、巻き爪治療はワイヤーやプレートなどの矯正器具を装着する矯正治療も効果があります。矯正治療は「矯正器具が元の形に戻ろうとする力を利用して、爪を平らな形に矯正する治療方法」です。
つまり、矯正器具の力を借りても、陥入爪の改善はあまり期待できません。
陥入爪でできる保存的治療
陥入爪でできる保存的治療は、おもに4つあります。
- テーピング法
- コットンパッキング法
- アクリルガター法
- 人工爪法
テーピング法やコットンパッキング法は、身近な物を使って施術できます。施術中の痛みも比較的少ないので、やり方がわかれば自分でケアも可能です。
反対に、アクリルガタ―法や人工爪法の施術は痛みがあるため、施術前に部分麻酔をします。
テーピング法
テーピング法は、テープを使って爪の食い込みを改善していく治療方法です。医療用テープを使って簡単にできるので、自分で施術もできます。
- 爪が食い込んでいる皮膚にテーピングを貼る
- 皮膚と爪の間に隙間ができるようにテーピングを引っ張る
- 引っ張った状態をキープしながら、テーピングを指の下へ押し下げる
- 指の下に回したテーピングを再度上に回して止める
テーピングを指の周りにぐるりと一周させるイメージです。
自分で施術するときは伸縮性のある医療用テーピングを選びましょう。2.5cm×6cm程度のサイズにしておくと、うまく貼りやすいです。
また、医療用テーピングがない場合は、絆創膏でも代用できます。医療用テーピングをすぐに買いに行けないときなどは、身近な絆創膏を使って陥入爪の痛みを緩和しましょう。
コットンパッキング法
コットンパッキング法も、テーピング法と同じく比較的手軽にできる保存的治療法です。コットンを患部の皮膚と爪の間に詰めて、皮膚と爪が当たらないようにします。
- コットンを小さくちぎり、米粒大に丸める
- 丸めたコットンを患部の皮膚と爪の間に挟み込む
コットンパッキング法で使用するコットンは、化粧用か医療用のコットンを選びましょう。コットンを皮膚と爪の間に詰めるときに爪垢取りがあれば、小さな隙間に挿入しやすいです。
また、コットンが大きすぎると、患部を圧迫して痛みが増す恐れがあります。小さなコットンから始めて、徐々に大きくしていくといいでしょう。
アクリルガター法
アクリルガタ―法は、爪と皮膚の間にアクリル製のチューブを挿入して、爪が皮膚に食い込むのを防ぐ方法です。チューブによって、爪を正常な方向に伸びるように促せます。
- 指の付け根や周囲に麻酔を打つ
- 爪と皮膚の間にアクリル製のチューブを挿入する
- ナイロン糸などを使ってチューブを爪に固定させる
アクリルガタ―法は、皮膚と爪の間にチューブを挿入するときに強い痛みを伴います。
施術中の痛みを緩和するには麻酔が必要なため、自分でアクリルガタ―法を行うのは難しいです。
また、挿入したチューブは激しい運動をすると外れてしまう恐れがあるので、ナイロン糸を使用して固定させます。
人工爪法
人工爪法では、皮膚に刺さっている爪を表面に露出させて持ち上げた状態にし、アクリル人工爪によって補強する保存的治療です。
人工爪で爪が指先まで伸びた状態に補強するので、爪が皮膚に刺さるのを防げます。
また、後から伸びてくる爪も人工爪に沿って伸びるため、人口爪を外してからも皮膚に爪が刺さることがありません。
- 指の付け根や周囲に麻酔を打つ
- 爪の先端に人工爪を装着する
人工爪法は麻酔を使って施術するので、施術中の痛みはほとんどありません。施術後には陥入爪の痛みはなくなり、日常生活が送れます。
ただし、激しい運動をすると人工爪が外れる恐れがあるので、注意しましょう。
陥入爪でできる外科的治療
陥入爪のおもな外科的治療は、「フェノール法」と「NaOH法」です。外科的治療は、麻酔をして患部を取り除く手術なので、自分では行えません。
外科的治療をしたいときは、外科や形成外科を受診しましょう。
フェノール法
フェノール法は、フェノールという薬剤で爪母細胞を焼いて、患部の爪を生えなくさせる手術です。
フェノール法を行うと患部の爪を切除するため、再発の可能性はほぼなくなります。
そのかわり、切除した部分の爪は二度と生えてこなくなるので、爪の幅が狭くなるのがデメリットです。
- 部分麻酔を打つ
- 切除する爪を周囲の皮膚からはがす
- 爪にハサミで切れ目を入れる
- 爪を抜き取る
- 抜き取った部分の爪の根元の爪母細胞をフェノールで焼く
フェノール法は施術当日にから歩行可能なので、入院いらずです。また、痛み止めが処方されるため、麻酔が切れた後の痛みにも対応できます。
NaOH法
NaOH法は、水酸化ナトリウム(NaOH)を用いて爪母細胞を焼いて、患部の爪を生えなくさせます。
施術の手順は、フェノール法とほぼ同じです。
- ①部分麻酔を打つ
- 切除する爪を周囲の皮膚からはがす
- 爪にハサミで切れ目を入れる
- 爪を抜き取る
- 抜き取った部分の爪の根元の爪母細胞を水酸化ナトリウムで焼く
NaOH法も、フェノール法と同様に施術当日に帰宅できます。
陥入爪の手術を受けた人の体験談
フェノール法とNaOH法は、どちらも麻酔を打って患部の爪を根元から除去する手術方法です。
皮膚に刺さっている爪を除去するため、痛みの原因を根本から治療できます。いっぽう、除去した爪の爪母細胞を薬剤処理してしまうので、処理した部分の爪は二度と生えてきません。
陥入爪の手術でなにより気になるのは、一般的な手順よりも実際の施術や痛みに関する感想ではないでしょうか?
SNS上で調査した5つの体験談をご紹介します。
- 手術後は痛くて足の震えが止まらない
- 麻酔を打つ時が痛かった
- 術後は通常より大きな靴が必要
- 何か所も麻酔を打って爪を根元から引っこ抜く
- 手術後に麻酔が切れたら痛い
- 陥入爪を放置していたら手術する羽目になった
- 爪を抜くときにメリメリと音がする
気になる!陥入爪の治療費用はどのくらい?
陥入爪の治療は、治療する機関や治療方法、症状の進行度などで大きく異なるため、治療費用の相場は5,000~12,000円ほどと金額に幅があります。
陥入爪を治療できる診療科目は、おもに4つです。
保存的治療 | 外科的治療 | |
---|---|---|
皮膚科 | 〇 | × |
外科 | × | 〇 |
形成外科 | 〇 | 〇 |
整形外科 | 〇 | × |
陥入爪は病院で治療すれば、たいていは保険適用になります。しかし、受診する機関によっては、保険適用外になる場合もあるので注意が必要です。
また、陥入爪が化膿や出血を起こしていない場合、以下の機関でも自費治療を行えます。
- 当院のような巻き爪専門院
- ネイルサロン
- 接骨院
当院では矯正器具を用いた巻き爪補正を行っており、まずは問診をして治療にかかる費用のご説明をいたします。
陥入爪の治療でよくある質問
最後に、陥入爪の治療でよくある質問にお答えしていきます。
陥入爪を自力で治す方法はありますか?
陥入爪は、コットンパッキング法やテーピング法で自力での治療が可能です。
コットンパッキング法やテーピング法は、ドラッグストアやインターネットショップで手に入る物で施術できるので、「忙しくて病院に行く時間がない」という人でも気軽に治療を始められます。
ただし、化膿や炎症、出血など症状が進行している場合は、病院で治療するようにしましょう。
症状が悪化している状態のときに自力で治療すると、患部を傷つけてよけいに状態を悪くしてしまうリスクがあります。
また、自力で皮膚に刺さっている爪を無理やり引き抜くのはNGです。皮膚に刺さっている爪を除去すれば、一時的に痛みの原因がなくなります。
しかし、短くなった爪は同じ方向に伸びるので、結局また皮膚に刺さることになるのです。
自力での治療は応急処置だと考え、確実な治療は専門機関に頼るようにしましょう。
陥入爪は放置して自然に治りますか?
一度陥入爪になってしまうと、爪が自然にのもとの状態に戻ることはありません。むしろ、皮膚に刺さっている爪が伸びていき、症状は悪化していきます。
上のXの投稿からわかるように、痛みを我慢して放置しておくと刺さった爪が皮膚を貫通するケースもあります。
また、陥入爪を放置しておくと歩行困難や腰痛、膝痛など、体のさまざまな場所に悪影響をおよぼすので、陥入爪になったら早めに治療を開始しましょう。
陥入爪は病院に行くべきですか?
陥入爪は、軽症であればコットンパッキング法やテーピング法を自宅で試すのもいいです。自宅での治療は道具を簡単に調達できるので、費用を安く済ませられます。
また、陥入爪の治療は、巻き爪専門院やネイルサロン、接骨院でも治療可能です。
街中やビジネス街にある巻き爪専門院やネイルサロン、接骨院は遅い時間まで営業していることも多く、気軽に仕事帰りに立ち寄れるでしょう。
ただし、病院以外の施設は医療行為を行えません。出血や化膿といった症状がある場合や重症化して手術必要な場合は、病院を受診しましょう。
陥入爪の手術は痛いですか?
陥入爪の手術は麻酔を打って行うため、施術中の痛みはほとんどありません。術中に痛みはありませんが、手術前に麻酔を打つときや術後に麻酔が切れた後に痛みがあります。
陥入爪の手術をした後は翌日まで痛みが続くことも多いですが、鎮痛剤と抗生剤を処方されるので薬を飲んで痛みを抑えましょう。
【まとめ】陥入爪は軽症のうちに治しましょう
陥入爪の治療には、保存的治療と外科的治療があります。
軽症のうちは、コットンパッキング法やテーピング法などを自分で施術することも可能です。しかし、重症になるほど治療に時間がかかり、外科的治療が必要なる可能性もあります。
陥入爪は放置して治ることはありません。「なんとなく痛い」「違和感がある」といった軽症のうちに専門機関に行き、治療を始めるようにしましょう。