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陥入爪と巻き爪に違いはある?原因や治療法をくわしく解説

「足の爪が食い込んで痛い」

指の痛みを感じたときに一番に考えられるのは、陥入爪と巻き爪です。しかし、陥入爪と巻き爪を正しく見分けられる人は多くありません。

そもそも、陥入爪と巻き爪に違いはあるのでしょうか?違いがあるのなら、見分け方や治療方法を知っておきたいですよね。

本記事では、陥入爪と巻き爪の原因や症状について詳しく解説していきます。

最後まで読んで、「私の症状は陥入爪?」「陥入爪や巻き爪に予防法はある?」といった疑問を解消してください。

陥入爪と巻き爪に違いはある?

陥入爪と巻き爪は混同されがちですが、実は違うものです。

  • 陥入爪・・・爪の先端が皮膚に刺さっている状態
  • 巻き爪・・・爪の端が内側に巻いている状態

ここでは、陥入爪と巻き爪の原因や症状を詳しくご紹介します。

原因

陥入爪と巻き爪のおもな原因を比較してみましょう。

陥入爪の原因巻き爪の原因
深爪
生まれ持った爪の性質
足に合わない靴による爪への圧迫
足に負担をかける激しい運動
肥満
足のむくみ
外反母趾などの足変形
爪白癬(爪水虫)
巻き爪
足に合わない靴による爪への圧迫
足に負担をかける激しい運動
肥満
浮き指
爪白癬(爪水虫)
生まれ持った爪の性質

陥入爪と巻き爪の原因は似ているようですが、陥入爪の原因でとくに多いのは爪の切りすぎ(深爪)です。また、巻き爪が原因で陥入爪になることもあります。

いっぽう、巻き爪は、靴や運動、歩き方などによる爪の圧迫が大きな原因です。

症状

陥入爪と巻き爪の症状は、以下のように進行していきます。

 陥入爪巻き爪
初期症状炎症を起こし、患部に疼痛や赤みがある無症状のため気づかないこともある
中等症状痛みが強くなる
肉芽腫が形成され痛みが増す
痛みが出てくる 患部が赤くなり、ほてりが出る
炎症を起こす(爪囲炎)
重症状炎症が進み、化膿する
激痛をともなう
痛みで歩行困難になる場合もある
強い痛みがある
患部に膿がたまる
痛みで歩行困難になる場合もある

巻き爪は、爪が巻いていても気づかない場合があります。いっぽう、陥入爪は皮膚に爪が刺さっているため、痛みや違和感で症状に気づく人が多いです。

しかし、どちらも痛くないからといって放置すると、重症化して体のほかの部分が悪くなったり歩行困難になったりする恐れがあります。

巻き爪と陥入爪の見分け方│判断のチェックポイント

陥入爪と巻き爪は原因や症状が似ていますが、気をつけて見てみると、どちらか判断可能です。

4つの項目を目安に、ご自身の痛みの原因が陥入爪と巻き爪のどちらなのか確認してみてください。

陥入爪・巻き爪の判断チェックポイント
  • 爪が巻いているが、痛みがない→巻き爪のごく初期症状
  • 爪が巻いていて痛いが、皮膚に爪が刺さっていない→巻き爪で炎症が起こっている
  • 爪は巻いていないが、皮膚に爪が刺さって痛い→陥入爪
  • 爪が巻いていて、かつ皮膚に刺さって痛みがある→巻き爪と陥入爪の併発

 

陥入爪と巻き爪を見極める大きなポイントは、「爪が巻いているか」です。

ただし、陥入爪は、巻き爪と併発するケースもあります。判断が難しいときは、専門家に診断してもらうようにしましょう。

巻き爪・陥入爪の両方に有効な治療方法

陥入爪と巻き爪は症状や原因が似ているのはもちろん、両方に有効な治療方法があります。

巻き爪・陥入爪に有効な治療方法
  • コットンパッキング法
  • テーピング法
  • アクリル人工爪法
  • ガター法
  • フェノール法
  • NaOH法

 

コットンパッキング法やテーピング法は自分でも施術できるため、応急処置方法としても効果的です。

コットンパッキング法

コットンパッキング法は、患部の爪と皮膚の間にコットンを詰めて隙間をつくって痛みを緩和する方法です。

麻酔が必要なく施術も簡単なので、ご自身で行えます。

【準備するもの】

  • コットン
  • ピンセット
  • 爪垢取り(なくてもOK)

【手順】

  1. 足をよく洗い、乾かす
  2. コットンを少量ちぎり、米粒大に丸める
  3. ピンセットと爪垢取りを使ってコットンを爪の下に押し込む

いきなりたくさんのコットンを詰めると痛いので、少量からはじめて徐々に増やしていきましょう。

また、陥入爪や巻き爪の治療をするときは、清潔が第一です。入浴後や汗をかいた後などには、こまめにコットンを取り換えるようにしましょう。

テーピング法

テーピング法は、テーピングを使って皮膚と爪を引き離すようにして痛みを緩和する方法です。

用意する物はテープだけなので、自分でも簡単に行えます。コットンパッキングとは異なり、爪と皮膚の間に詰め物をしないので、施術の際に痛みが少ないのも特徴です。

【用意する物】

テープ

テープは伸縮性のあるタイプを選びましょう。テープがないときは、絆創膏でも代用可能です。

【手順】

  1. 足をよく洗い、乾かす
  2. テープを25mm×60mmくらいにカットする
  3. テープの端を患部の爪の横ギリギリに貼る
  4. 皮膚と爪の間を広げるようにテープを引っ張る
  5. 引っ張った状態をキープしながら、テープを指の下側に回す
  6. 指の下側から上側までテープを回し、固定する

テーピング法を行う場合も、清潔は重要です。入浴後やスポーツの後には、こまめにテープを取り換え、清潔を保ちましょう。

アクリル人工爪法

アクリル人工爪法は、爪にアクリル樹脂の人工爪を付けて、爪の食い込みを防ぐ方法です。

人工爪によって爪が理想の長さにまで伸びた状態になるため、爪が皮膚に食い込まなくなります。また、人工爪の形に沿って爪が平らに伸びていくので、爪の形の矯正も可能です。

陥入爪や巻き爪の原因が「深爪」である場合は、とくに効果が期待できるでしょう。

【手順】

  1. 指の付け根や爪の周辺に麻酔を打つ
  2. 爪の先に人口爪を作成する

施術をすれば爪が食い込まなくなるので、効果に即効性があります。 ただし、アクリル人工爪法は、つけたまま放っておくと爪が伸びすぎの状態になってしまうため、定期的な付け替えが必要です。

ガタ―法

ガタ―法とは、患部の皮膚と爪の間にチューブを挿入し、爪の食い込みを防ぐ方法です。チューブに沿って爪は伸びていくので、爪を正常な形に矯正できます。

チューブを挿入するときは強い痛みが発生するため、施術には麻酔が必要です。

【手順】

  1. 指の付け根や爪の周辺に麻酔を打つ
  2. 爪と皮膚の間にチューブを挿入する
  3. 爪とチューブにナイロン糸を通して固定する

ガタ―法は、施術直後から痛みが和らぎます。また、歩行や入浴など、日常生活に支障もありません。

ただし、ガタ―法のチューブは強い衝撃があると外れてしまう恐れがあるので、治療中は激しい運動を避けたほうがいいでしょう。

フェノール法

フェノール法は、フェノールという液体を使って爪の一部を再生できなくする外科的治療法です。

フェノール法をした部分の爪は生えてこなくなるため、陥入爪や巻き爪の根本的治療が叶います。フェノール法は手術ですが、入院の必要はなく施術当日に帰宅可能です。

また、フェノール法は、化膿や炎症など症状が重い場合でも施術できます。

【手順】

  1. 麻酔をする
  2. 切除する部分の爪を周囲からはがす
  3. 食い込んでいる爪に割れ目を入れる
  4. 爪の食い込んでいる部分を抜き取る
  5. フェノール剤で爪を抜き取った根元の爪母(爪を作る部分)を焼く
  6. 保護処理をする

フェノール法は、陥入爪や巻き爪の再発リスクが少ないです。ただし、切除した部分の爪は二度と生えてこないため、爪の幅が狭くなってしまいます。

NaOH法

NaOH法は、フェノール法と同じように、患部の爪を切除して生えないように処理する方法です。

【手順】

  1. 麻酔をする
  2. 切除する部分の爪を周囲からはがす
  3. 食い込んでいる爪に割れ目を入れる
  4. 爪の食い込んでいる部分を抜き取る
  5. NaOHで爪を抜き取った根元の爪母(爪を作る部分)を焼く
  6. 保護処理をする

一般的に、フェノール法に比べると治癒するまでの期間が短いとされていますが、行っている機関は多くありません。

矯正治療が有効なのは巻き爪だけ?

矯正治療は基本的に巻き爪の治療です。巻き爪の矯正治療には、大きく3つに分類できます。

矯正治療概要
クリップ型形状記憶合金で作られた器具を爪先に装着する
ワイヤー型爪の先端に穴を開け、形状記憶合金のワイヤーを通す
プレート型板状のプレートを爪の表面に装着する

矯正治療に共通しているのは、「爪を平らな形に戻して、爪が食い込まないようにする」点です。爪が皮膚に刺さらなくする治療ではないので、陥入爪に向いているとはいえません。

ただし、陥入爪は巻き爪が原因で発生しているケースや巻き爪と併発しているケースがあります。そのような場合は巻き爪が矯正されることで、陥入爪の症状の緩和が期待できるでしょう。

巻き爪・陥入爪を予防する生活習慣

「巻き爪で歩きづらい」

「陥入爪を繰り返してしまう」

陥入爪や巻き爪は早めに治療するのが一番です。しかし、いっそのこと「ならなければいいのに」と思いますよね。

陥入爪や巻き爪は、日々の生活習慣を改めることによって予防可能です。

ここでは、簡単にできる3つの予防習慣をご紹介します。

  • 正しい爪切りで深爪を防ぐ
  • 自分の足に合った靴を履いて指の圧迫を避ける
  • 正しい歩き方で指に適度な力が加わるようにする

正しい爪切りで深爪を防ぐ

深爪になると、爪が伸びる過程で皮膚に刺さり陥入爪になる恐れがあります。また、巻き爪の爪を切り過ぎると、痛みが増してしまうので爪の長さには要注意です。

巻き爪・陥入爪予防には、正しい爪切りをマスターしましょう。

爪切りのポイント
  • 爪の長さは、指の先と同じくらいに揃える
  • 少しずつ切って形を整えるようにする
  • 爪の角を丸く削る
  • 入浴後など、爪のやわらかいときに切る
  • フェノール法
  • ぶ厚い爪やもろい爪は、無理に切らずに爪やすりで削る

 

手の爪なら2~3週間、足の爪は約1ヶ月の頻度で切るようにし、切り過ぎはNGです。伸ばしっぱなしも、爪が折れたり割れたりする原因になります。

定期的なチェックで正しい爪の長さと形をキープしましょう。

自分の足に合った靴を履いて指の圧迫を避ける

自分の足に合っていない靴の圧迫は、巻き爪や陥入爪になる共通の原因です。ヒールの高い靴やつま先の尖った靴を避けるだけでも、予防はできます。

自分に合った靴を選ぶポイントは4つです。

  • つま先にゆとりがある
  • ヒールの高さは3cmまで
  • かかとをしっかり包み込んでくれる
  • 靴紐やベルトで靴幅を調整できる

人の足にはそれぞれ個性があります。サイズだけを見て購入するのではなく、実際に試着をして自分の足に合った靴を選ぶようにしましょう。

正しい歩き方で指に適度な力が加わるようにする

「歩くことは健康にいい」とよくいわれます。しかし、間違った歩き方をしていると、陥入爪や巻き爪のリスクを高めてしまいます。

正しい歩き方には、足裏の重心移動が重要です。

重心移動の順番

かかとで着地→小指の付け根→親指の付け根→親指で踏み込む

 

かかとから小指を通って親指に重心を移動させるイメージです。

また、膝を伸ばしてから足裏はかかとを着地させます。足裏の重心移動をして、親指から次の一歩に踏み込みましょう。

正しい歩き方は、巻き爪・陥入爪予防のほかに、筋力・代謝アップといったメリットがあります。

体全体の健康のためにも、正しい歩き方は身につけて損はありません。

【まとめ】巻き爪・陥入爪どちらも症状が悪化しないうちに治療しましょう

巻き爪と陥入爪は、足の指が痛いという点ではよく似ていますが、異なる症状です。

  • 巻き爪・・・足の指と爪が圧迫されバランスが崩れることで起こる
  • 陥入爪・・・爪の先が皮膚に刺さって起こる

巻き爪と陥入爪は放置しておくと、化膿や炎症など悪化していく恐れがあります。足の指に痛みや違和感があるときは、できるだけ早く専門家に相談するようにしましょう。

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